ナーフの性能を測る要素の一つとしてダーツの初速があります。
同じダーツを使用した場合、単純に言えば初速が高いほどパワーがあり、飛距離が伸びる可能性があるということになります。安全性の基準としてもこの初速は重要な概念となっており、日本含めて各国ともに基準値、規制値がそれぞれ定められています。
ナーフについては日本の銃刀法規制は関係なし、そもそも実銃の持てるアメリカなら尚更…と思っていたのですが、どうやら米国内では事情が少し変わってきた模様です。
New US law limiting toy projectile energy effective April 2017 from Nerf
海外SNSより。
2017年にASTM(国際標準化規格)の改定があり、これを基に規定されている米国消費者保護法(CPSIA?)も変わるのではないか、という話題です。
規制ジュール引き下げで一部に影響有り?
いろいろな部分が一気に改定されるようですが、ここではナーフに関係する部分に着目したいと思います。
おおよその概要はこのページで。
Overview of Changes in ASTM F963-16 Toy Safety Standard
定義としては以下の部分。
Allowable projectile Kinetic Energy Density (KED) is now 2,500 J/m2
が関係するんでしょうか。運動エネルギー密度の制限が2,500/m^2(※現在)
ちなみに日本の銃刀法では3.5J/cm^2という規制値があり、m^2に換算すると35,000J/m^2。上記の数字がいかに厳しいものであるかわかりますでしょうか。
運動エネルギー密度は単純に言えば接地面積が小さく、速度と重量が大きいほど高くなります。同じ速度でぶつかって痛いのはピンポン球よりもビー玉と考えれば何となく想像できますでしょうか。
話を戻して議論を拾い上げてみますと、
- まず玩具安全基準ということから対象となるのは対象年齢12歳以下のブラスター。
14歳以上用のライバル・シリーズはこの規制値以上のエネルギーを持つものの適応外。
ペイントガン等も同様の理由で影響はなし(?)。 - この規制は販売者による製品販売に対するもので、MODパーツ等の改造品については適応せず(?)
- エリートダーツの場合の初速規制は80fps(24.4m/s)、現行ナーフのオレンジトリガーでも一般的には70fps前後なのでほぼ問題なし
- メガダーツの場合は78fps(23.8m/s)
- ナーフより重く細いBoomco弾では54fps(16.4m/s)、一般的に販売されているものが60fpsを超えるものが多いのでパワーダウンの可能性あり?
- 1月末移行には正式に改定基準が示されるのでそれを見守っている状況。
のようです。
日本より遥かに厳しい規制値に???と思えるのは、それが12歳未満の子供向けの玩具に関する規制だからなんですね。
アメリカでも中国製の高威力トイガンがどんどんと輸入されており、ネットショップだけでなく小売店店頭でもよく見かけることができます。SNS等で「ナーフっぽい物があった」と投稿されてるのを見ると、タオバオ(中国の通販サイト)で頻繁に見かけるトイガンそのものだったりすることが多々あります。そういう面での規制強化なのかなと個人的には思ったりしています。
日本では影響なし?
日本ではエアーガンとしての規制として銃刀法と青少年保護育成条例がありますが、ナーフ等に適応されるのかどうかは不明です。
ただし多少の改造くらいでは到達できないほど規制値が高く設定されていますので(ナーフにとっては)、そこまで気にすることは無さそうです。
気になる方は弾速計を備えておくといいかもしれませんね。